2014/02/14

魚上氷

立春末候(3候)
魚氷を出る。

絶賛降雪中だが、
山奥の湖では氷が緩み、
魚が飛沫を上げて飛び跳ねているのかもしれない。



本日2月14日はMarco Pantaniの命日である。
多くの自転車乗りが哀悼の意を表し、
時間に余裕がある者は峠を登り、
余裕がない者は祈りを捧げる。

幾多の大事故から
不死鳥のように蘇り、
誰もが天を仰ぐ超級山岳で、
海賊と称される出で立ちで、
鬼のような形相をして、
汗を垂らし、歯を食いしばりながら、
一人だけ羽が生えているかのように、
登っていくその姿に魅了され、
勇気をもらった。

その最期はあまりにも悲惨で、
言葉を失った。

あれから10年。
様々な事実が浮き彫りになり、
誰が嘘つきで、
誰が正直者だったかが、
明らかになりつつある。

彼の最期の言葉が、
どのような意味を持っていたのか、
何を訴えたかったのか、
本当の意味が明らかになりつつある。

Bassonsは間違いなく正しかったが、
Pantaniが間違っていたと言えるのだろうか。

彼の訴えは、
無駄ではなかったのだと信じたい。


Gazzetta dello Sportが彼を悼む特集をしているが、
彼を一番追い詰めたのはGazzettaではないだろうか。

Maradonaが言ったように、
マスコミが、
無批判に信じた人々が、
助けようとしなかったすべての人々が、
彼を死に向かわせたのだろうけど。

彼が伝説的な走りを見せた数多の峠に
白いペンキで記されたペイントは
もう残っていない。

季節は巡り、
5月になればジロ、7月になればツールが開催される。
ドロミテ、アルプス、いくつもの峠を越えていく度に、
彼を思い出し、心を震わせるだろう。


addio pirata,
sarai x sempre nei nostri cuori !







などと考えながら、
パヴェを頬張る今日この頃。